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岡山県初「連島ごぼう」のGI登録と販売体制の強化

 

「連島ごぼう」は、岡山県倉敷市南部で生産されている。同地域は、岡山県三大河川のひとつ高梁川の支流・東高梁川の廃川地跡であるため、砂が数m堆積し、水はけが極めて良好な土壌である。このため、ごぼうの先端まで水が浸透し、適度な湿りとなって根の生長が促進される。さらに、伏流水が豊富であることから、かん水不足にならず、通常のごぼうに比べ、根長が揃い、肌が白く、アクが少ないといった「白肌ごぼう」の特性をいかんなく発揮できる条件が整っている。

このような恵まれた立地条件・水脈が品質を高め、中国・四国地方最大の洗いごぼう産地となっており、28戸の農家が15haの面積で約500t(平成28年度)の「連島ごぼう」を生産している。

 

色白で、柔らかく、甘味がある

「連島ごぼう」は、肥大が早く、短期間で収穫できるため、春まき、秋まきの主流作型に加え、平成16年からは、12月末に出荷が始まる作型の「新旬ごぼう」にも取り組んだことで、ほぼ1年を通じて出荷が可能となった。

出荷形態は、全国で主流の土付ではなく洗いごぼうとしている。これは、当地の土質により砂が付きにくく容易に洗い流せることと、アク抜きが不要で、すぐに調理でき、皮ごと食べられるという洗いごぼうの利点を活かしたものであり、他産地との差別化を図っている。

現在の主な出荷先は、岡山県・広島県・愛媛県・大阪府・鳥取県であるが、市場関係者からは「『連島ごぼう』は色白で、風味があり、ほぼ通年で取引ができるため、量販店をはじめ、学校給食など消費者の需要に幅広く対応できる」と評価されている。特に、大阪市場では、他産地の白肌ごぼうに比べても1割から2割ほど高単価で取引されている。

一方、栽培面では、品質向上のために土壌診断を行い、適正な施肥を実施することで、通常のごぼうに比べ柔らかく、甘味があり、筋張っていない(口に繊維が残らない)といった特徴を生み出している。

平成25年に、倉敷地域の料理教室参加者を対象に行ったごぼうに関するアンケートでは「一般のごぼうに比べ、『連島ごぼう』が美味しい」という回答が59名中58名を占め、「長さ、太さ、単価とも丁度よく、調理のしやすさなどから週2~3回購入する」との回答が多くあった。

 

GI登録の取り組みと課題

「連島ごぼう」は、平成18年12月の倉敷市地域ブランド協議会において「倉敷ブランド」に認定された。これを受け、倉敷市では、5月10日を“ゴボーの日”(5…ゴ、1…ボ、O…オー)に制定し、量販店での食宣販売だけではなく、食育の一環として、ごぼうの抜き取り体験も行い、TV番組出演などを通じたPRにも取り組んでいる。

一方で、販売面ではいくつかの課題もあった。量販店では、系統の共撰品と個人の出荷品が同じ「連島ごぼう」として販売されており、さらに、土付のごぼうも同価格で販売されるという状況にあった。このため、差別化した販売体制の強化を模索していたところ、地理的表示(GI)保護制度がスタートしていることを知り、その取得に向けて取り組みを開始した。

平成28年1月に申請書を提出してから約1年後の同年12月にGI登録された。岡山県では初の登録産品となったことから、「新旬ごぼう」の初出荷の様子は大きく報道され、現在、単価は前年対比2割増で推移している。

平成29年度の初出荷(4月25日)以降、地元スーパーや量販店などで食宣販売を行ってきたが、「連島ごぼう」の認知度はある程度高かったものの、GI制度そのものの認知度は決して高いものではなかったというのが実情であった。GI制度が消費者になかなか周知されてない状況のなかで、「連島ごぼう」をどのようにPRしていくかが今後の課題となっている。

 

GI効果の期待と生産者の今後の展開

当産地にも高齢化の波が打ち寄せているなかで、産地の生産力の維持が課題となっている。例えば、土壌消毒や被覆、トレンチャー(掘削機)などの作業は重労働になるため、JA青年部による作業受委託を行うことで、廃農するのではなく、栽培技術を後継者に伝承するような取り組みが重要となってくる。

また、先に述べたように、GI登録での最大のメリットは単価の向上である。しかし、消費の増税などの議論が行われているなかでは、店頭売価の価格帯の向上は望めないため、この単価を定着させていくには、今後、単価にあった量目の設定(食べきりサイズ)なども検討していく必要がある。

さらに、現状、「連島ごぼう」は3L(5㎏・25本)サイズでの出荷が中心となっているが、ごぼうは副菜であるため、核家族では少量しか必要とされない。つまり、値頃感のある価格帯の等級を生産するには、2L(5㎏・32本)サイズ中心の栽培体系を構築する必要があり、そうした取り組みによって、生産量・消費量の増加を図り、需要と供給のバランスを保持することで、GI産品「連島ごぼう」の認知度がよりいっそう高まっていくと考えている。

GI登録されて1年目の今年は、まさに正念場である。今回のGI登録を契機に、生産者主導で市場との値決めを行い、岡山県内はもとより、県外での普及活動、量販店での食宣販売を行うなど“出向く販売戦略”を打ち立て、1段階アップした市場価格が定着するよう努力していきたい。

“食べて、納得、連島ごぼう”よろしくネ!


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